八幡平で暮らす人インタビュー
株式会社麹屋もとみやが、新しくレンタルスペースをオープンさせたと伺い、訪ねてみました。今回お話を伺ったのは、本宮 啓さん。
本宮さんの実家である株式会社麹屋もとみやは、麹の専門店です。2020年時点で創業約90年の歴史があります。麹を使うシーンの中でお味噌の加工があり需要を受けてお味噌の販売や、より各家庭が手軽に使えるようにと各加工食品の販売も手掛けるなど幅広く活躍中です。
本宮さんは、2019年5月から、ご実家である株式会社麹屋もとみやに就職し、新しい試みにもチャレンジしています。Uターンである本宮さんに、これまでのことや、今、これからのことを話していただきました。全3回の連載で、ご紹介します。
八幡平市にUターンするまで
向かって左:味噌茶屋、右:株式会社麹屋もとみや
学生時代に東京に出た本宮さん。大学を卒業後、岩手県の会社に就職しますが、当初は家を継ぐことは考えてなかったと言います。
「正直大学生の時は、岩手に戻ってくることは考えていなかったです。ですが、いざ卒業を迎える段階になって、やっぱり岩手に戻りたいと思うようになりました。ただ当時は、家を継ぐ気持ちはなかったので、全く違う業種の会社に就職してトータル14年間お世話になりました」
就職して10年目までは、家を継ぐことは考えていなったという本宮さん。気持ちに変化が出始めたのは、就職してから10年経った頃でした。
「仕事上でお会いする方の中には、私の家が商売をしていることも知っている方もいらっしゃって。お話をする中で”家業はどうするの?”と聞かれることや”もったいないよね”、”実は私、商品を使ってるんだよね”とお話いただく機会が増えてきたんです。私自身も、継ぐのか継がないのか、いつかははっきりと今の社長に伝えないといけないとは思っていので、年齢のこともあり本当に考えないといけないなと思うようになりました」
しかし、それから5年間くらいは悩みます。
「考えている中で色々な方とお会いして、会社経営についてのお話を聞く機会もありました。もちろん、全てではありませんが教えていただいた部分もあり、”もし、他の方が経営者として家業を継いだらどうなるのだろう”と考えてみたんです。
仮定の話ですが、他の人が継いだ場合や、万が一辞めるとなった場合に今ご愛顧いただいているお客様にとって本当にそれでよいのか、など。悶々と考え抜いた末に、やっぱり他の人が継ぐのはイメージが湧かないと言いますか、すごく違和感があるという結論にたどり着きました」
色々な場合を想定して考え、一番納得のいく形が”継ぐ”という判断だったと言います。
「そうですね、あとは、やっぱり商品が”うまいな”と実感したことも大きいです。今となっては自社の商品ですが笑 自慢ではないですが、外でも味噌や麹の商品を食べる機会はたくさんあります。けど、”家でつくっているのっておいしいよな”と小さな頃から変わらず思っていたんです。だからこそ、もっと他のやり方も試してみたいという気持ちがあります。もちろん、色々勉強した上での話です。今までのやり方やお客様を大事にしつつ、少しずつ時間をかけて、新しいことにも取り組んでいきたいと思っています」
目指す将来像のイメージを伺うと、具体的なイメージを教えてくれました。
「最終的には冷蔵庫を開けたら、麹とか味噌とかの商品が必ずどの家庭にも常備されているようになればいいなというのが最終目標なんですよ。小さい子どもから、おじいちゃん・おばあちゃんまで、麹とかお味噌というものを視覚でも味覚でも知っていて。普通の日常会話の中に”なんかいつものやつ冷蔵庫に入ってないよ”と言われるくらいになってくれればいいなと考えています。かなり微力なんですけど、そういったところに少しでも近づくようなことをしたいです。それを今、社員のみんなと共有して、スタートし始めようとしている感じですね」
次回は、入社してからの気づきや、仕事をする上で大切にしている姿勢などについて、お話いただきます。
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