以前インタビューさせていただいた移住者の沢田昇太さん。新しくクラウドファンディングを成功させ、スナック『シャトル』の事業承継をしたと聞き、改めてインタビューさせていただきました。八幡平市で活躍する沢田さんに、クラウドファンディングを選んだ目的や、移住してからどのように生計を立てているのかをお話いただきます。
前回のインタビュー記事↓
楽しくやることばかり考えている―シェアハウス開業からの移住―
シャトルの出会いからクラファン達成
岩手県八幡平市の地域に愛される大切な居場所【シャトル】を守りたい!!
参照:https://camp-fire.jp/projects/view/278775
2020年、沢田さんはクラウドファンディングを立ち上げます。実はシャトルの事業承継が決まる前から、クラウドファンディングを行うことを公言していたと言います。
「去年(2019年)のうちから、どこかのタイミングでクラウドファンディングに挑戦したいというのは僕の中で決まっていたんですよ。だから、店が決まる前からみんなにクラウドファンディングの話をしていました。“飲食店をやるから、クラウドファンディングをしたら、その時はよろしくお願いします”と、公言してました」
沢田さんとシャトルとの出会いは唐突でした。
「移住した当初から楽しい飲食店を作りたいという希望がありました。ある時、地元の方から”シャトルのママがお店を閉めるらしい”と聞いて、その日の夕方にアポなしで訪問したんです。“すみません、お店を閉めると聞いたんですけど、店やらせてください”と、ママに話を切り出しました。突然ですからね、反応としては”え?”みたいな感じで。その時は開店準備中で忙しそうだったので、それだけ言って“じゃあまた後で話しをしに来ます”と言って、その日は終わりました」
後日改めて話をしにいった沢田さん。最初は、信用を得ることから始まり、何回も交渉を重ねながらシャトルの事業承継が決まります。
「当初のママの意向としては、事業承継は考えていなかったみたいです。まっさらな状態で場所は貸すから、好きにやってほしいという話だったんですけど、僕がそのままシャトルを続けたかった。『シャトル』の名前も受け継いで、クラウドファンディングを行いました」
クラウドファンディングというプラットフォームを活用した理由
クラウドファンディングは、クラウドファンディングサービスというプラットフォームを活用して、資金を集めます。「起案者(個人や団体、企業など)」はプラットフォーム上で「プロジェクト」を立ち上げ「支援者」から出資をしてもらい、その対価として支援者へリターンを渡します。
沢田さんは『岩手県八幡平市の地域に愛される大切な居場所【シャトル】を守りたい!!』
というタイトルで、国内最王手のCAMPFIRE (キャンプファイヤー)で、クラウドファンディングを実施しました。CAMPFIRE (キャンプファイヤー)でクラウドファンディングをしたことには明確な目的があったと言います。
「正直、中にはクラウドファンディングでお金いっぱい集まってよかったじゃんみたいに言う人もいます。ただ実際のところ、単純にお金が欲しくてお金集めだけしたかったなら、CAMPFIRE (キャンプファイヤー)というプラットフォームを介さずに、直接お金を集めますよ。なぜかと言うと、CAMPFIRE (キャンプファイヤー)というプラットフォームにプロジェクトを掲載するだけで17%の手数料が抜かれるわけです。単純にお金が欲しかったら、手数料を抜かれるより、普通に集めた方がいい。
でも、僕の狙いとしたのはシャトルの宣伝と、そのプラットフォームを活かして八幡平市というところの宣伝をしたかった。だからこそ今回クラウドファンディングに挑戦しました。プラットフォームの看板の大きさを活かしつつ、頑張りを数字で示すことが目的です」
クラウドファンディングでは支援額に応じてリターンが決まります。沢田さんのプロジェクトには、独自リターンの他に、市内の6社の企業が協力。オリジナル店内広告プレート設置権や1日貸切権などその企業ならではのリターンも設定されていました。
「協力してくださった企業は、僕個人の繋がりで“協力してください”と話をして、やってくれた人たちですね。本当にありがたいです。その人たちがいなかったら、今回のプロジェクトは、盛り上がりが欠けていたと思います」
沢田さんのプロジェクトは期間内に目標金額を超え、最終的な目標達成率は287%。たくさんの人の応援をうけ、クラウドファンディングを成功させます。
「支援してくださった方は八幡平市内の方が多いです。人口約26,000人くらいの街で、目標を大きく達成できたこと、リターンに協力いただいた企業が全て市内の企業だったこと、ここにこそ意味があると思っています。シャトルの事業承継だからこそ、地元の方に応援されないと根本的な何かが違うと思っていたので。お金集めというより、言葉を雑にすると「八幡平のシャトル」を売名したかったんです。これまでのファンの方・常連の方を大切にしつつ、今までシャトルを知らなかった方にも知ってもらうきっかけになればいいし、外からも来てくれればいい。だから、売名ですね」
実際にクラウドファンディングを成功させた今、責任感が増していると言います。
「この結果は、本当にありがたいですね。嬉しさというよりも、責任感とか“しっかりやらなきゃダメだな”というプレッシャーが増しました。集めたからにはちゃんとお返しもして、地域の方に愛されるシャトルという場所を承継したのだから、潰れないように、長く良い場所にしていかないとなというプレッシャーがドンドン上がっていった感じですね。金額が集まれば集まるほど、実感が深まりました」
移住してからの仕事と生活について
沢田さんが八幡平市に移住してきてから約1年半(インタビュー時点)。理想と現実のギャップなどを感じた事があったか伺うと「ないですね、全く」とキッパリ答えます。
「僕は好きなように生きたいんですよ、自分勝手で。ギャップとかは特にないですね」
すんなり馴染んだという沢田さん。移住してからどのように身を立ててきたのでしょうか。
「僕は仕事を辞めて裸一貫で八幡平市に来ました。1年目は貯金もほとんどなかったので、とりあえず色々なことをやりましたね。失業保険をもらった後は、市内の様々な場所でバイトをしました。市内の人とバイトを介して繋がりが生まれたことは大きかったです。今も、声がかかればバイトをすることもあります。
バイトと合わせて、インターネットを介して物の売買を仲介するバイヤーのようなこともやっていました。古物商の資格を持っているので、たまに車が入ってきたら売ったりしていましたね。
後は、僕は整備士だったので、それこそ整備の仕事を受けたりとか。例えば、車の調子悪いから見て欲しいとか、タイヤ交換欲しいとか、オイル交換して欲しいとか、色々な人が僕に頼んでくれたので、その依頼を受けたりもしました。それ以外では、シェアハウスです。金額としては微々たるものですが家賃収入を得ています。色々なことを同時に行って生活しています」
2020年には新しくシャトルの店長という仕事も加わりました。現在は「寝る8時間か9時間以外はずっと動いてる感じ」と話します。
「今頑張らないで、いつ頑張るんだという気持ちです。正直、去年1年は遊んで生きていたようなものでした。バイトを好きな時にしたり、ふらふらしたり、旅行行ったり。1年間は好きにやっていたので、もう飽きましたね。移住してきて1年間は移住を楽しんで遊んで暮らして、そして今はお金稼ごうかなみたいな気持ちになりました。稼いで、また次のビジネスやっていきたいと思っています」
これから目指していきたいこと
「シャトルは、ママの意志を受け継いで変わらないようにする一面もありつつ、僕という外から来た比較的年齢も若い人がやっていくことで違いも出てくると思うんですよ。僕は起業しているので、一般的にはアグレッシブだと思います。だからこそ良い意味で守りつつ、ドンドンさらに良い方向に変えられたらいいなと考えています。ただ具体的な案が今はまだないので、抽象的な話ですね。今はまだ通常業務をこなすだけで精一杯なので笑」
沢田さんの次のビジネス構想は豊富です。
「やりたいことはめちゃめちゃあります。今はジム、サウナ、パン屋、あとフランチャイズのコメダカフェやってみたいなと思っています。今はシャトルで手一杯ですが、将来的には雇用を創出していきたいです。地域を盛り上げるには働く雇用も創出しないと、やっぱり盛り上がらないし、人も来づらいだろうと思います。お金を稼ぐことは大事ですから。
もし僕が求人を出すとしたら、僕のやりたいことに共感してくれて、手伝ってくれる人を募集したいです。俺についてきてくれる人ですね。僕は完全にどこまで行っても自分勝手というか、自分本位というか。自分のやりたいことがいっぱいある人なので、それを一緒に実現してくれる人と一緒に働きたいです」
何事も「筋トレと一緒」
沢田さんは都会よりも八幡平市で暮らす方が良いと断言します。
「僕の考えですが、都内の生活とこちら(八幡平市)の生活を比べた場合、物価もそこまで変わらないですし、今の時代、東京に居るからというだけで何かが変わるかと言うと、何も変わらないです。だから、僕はこちらの方がいいです。人は少ないですし、車も少ない。加えて環境が良い。自然もあるし、温泉もあるし、景色良い。露天風呂も最高に気持ちいい、外気浴も気持ちいいですし、温度も暑くない。むしろ寒いぐらいですし、ジメジメする時期は短い。都会には都会の良さがありますし楽しいですが、こっちの方が僕は好きです」
移住者だからこその視点も持ち合わせている沢田さん。都会と比べると田舎には移住者を受け入れる体制が弱い部分があると指摘します。
「都会の場合、ある程度新参者に対して間口を広げていて受け入れ体制がありますが、田舎の受け入れ体制は弱い部分があると思います。外から来た人をすぐに受け入れることに抵抗がある気持ちもわかります。なので、シェアハウスの存在意義は、受け入れの間口を広げ選択肢を1つ増やすことにある思っています。
外と内の中間点があることで、外から人が来やすいですし、最初の取っ掛かりとしてとっつきやすいだろうなと考えています。ハブ機能は、なくてはならないものだと思うんですよ。僕には場を作っていきたいという想いがあります。だからこそシェアハウス等は、ハブとして機能させていきたいので、それは変わらずやっていきます。筋トレと一緒です」
沢田さんは八幡平市に来てから筋トレを本格化させました。前回のインタビュー時と比べても、体つきが変化しています。筋トレを実践し、効果が目に見えて現れてくるようになって、何事も「筋トレと一緒」という持論が生まれたと言います。
「筋トレもいきなり1日か2日で成果は出ないです。常に目標があって、それに対して毎日コツコツ、コツコツ積み上げを行っていきます。不随する食事や睡眠、休憩の時間などを総合的にこなして、やっと体に効果が現れてくる。だから、なんか本当に筋トレと一緒だなって思います」
最後に、今後の活動についてなどをお話いただきました。
「今注力していることは、まずはシャトルの経営です。しっかり利益を出していかないとやっている意味がないので。そこから新しい事業にもチャレンジしていきたいです。
住んでいる人は当たり前で魅力に気づかないかもしれませんが、僕は八幡平は良いところだと確信しています。まずはシャトルを軌道に乗せて、これからも新しいことにチャレンジしていきたいです」
住所:岩手県八幡平市大更第23地割89−3
営業時間:19時00分~2時00分
定休日:月曜
電話番号:0195-75-1089
シャトルの位置はコチラ↓