【紫根染め体験教室レポ】学校の伝統で地域交流


11月24日に平舘高校の市民向け紫根染体験教室に参加してきましたのでレポートしたいと思います!



これまで平舘高校では家政科学科の生徒が中心になって「ムラサキ」に関する研究をしてきました。
3年生が卒業式で身につけるコサージュを植樹から製作まで一貫して行うのが伝統行事になっています。




その他、敬老会のお祝いの品として紫薫枕を製作してプレゼントしてきました。


日頃の研究成果を知ってもらうきっかけとして
今回のような体験会を市内の小学校を中心に行ってきました。

今年は平舘高校の調理室で行いましたが、昨年は松野小学校や平舘小学校へ出向き、紫根染を体験してもらう「出前授業」を通して地域に発信しています。



ムラサキと平舘高校

平舘高校の正面玄関の花壇に移植されているムラサキについての説明標識

ムラサキは平舘高校の校歌の歌詞に登場したり、校章に図案化されています。
この校章は初代校長が天皇陛下と共に移植したことを記念し図案化しました。



ムラサキの歴史や用途

和名ムラサキの語源は、本種が群れて咲くことから「群ら咲き」とする説が一般的である。根が紫だったことから紫色の由来になったとの説もある。

生薬

乾燥したは暗紫色で、紫根(しこん)と称される生薬になります。抗炎症作用、創傷治癒の促進作用、殺菌作用などがあり、紫雲膏などの漢方方剤に外用薬として配合される。

最近では、日本でも抗炎症薬として、口内炎・舌炎の治療に使用される。

民間療法では、解熱解毒利尿、肉芽の発生を促すため皮膚病やけどに煎じ、服用する用法が知られている

染料

古くから紫色染料として用いられてきた。紫色とは、もともとムラサキの根を原料として染め上げた色である[5色を染めるには、乾燥した紫根を粉にし、微温湯で抽出して灰汁媒染して染色する。江戸時代には染められた絹を鉢巻にして、病気平癒の為に頭に巻く風習が生まれた(病鉢巻)。

口紅

染料の成分および薬用成分はナフトキノン誘導体のシコニン (Shikonin) で、最近ではバイオテクノロジーにより大量生産されて口紅などに用いられている。



紫根染はムラサキの根から抽出した色素で染める草木染です。
紫草の自生地は高い山岳部でも、低地でもない水捌けの良い、日当たり良好な場所でした。
自生していたあたりは粘土質の赤土。
現在は野生では自生地の環境悪化によって、自生のものは非常に少なく、絶滅危惧種になっています。


こちらは実際に生徒達が高校の裏山の斜面に移植して増やしたムラサキ
苗は平舘高校OBの小船清悦さんが育て、毎年寄付してくれているそうです。




体験会の前に日頃の研究成果を発表する生徒達

いよいよ染めますよ〜

布の折り方と棒や板、割り箸などでシワを作る組み合わせで絞り模様ができます。伝統的な技法から、ビー玉、輪ゴムなどを使う現代的で簡単な方法まで一通り紹介してもらい、いざ実践。
シルクスカーフを教わった技法でいろいろ組み合わせて絞ってみたら
どんな模様になるか染め上がるまでわからなくなりました。



媒染と染液について


媒染とはアルミニウムイオンを多く含む椿の灰汁に浸す下処理です。色が鮮やかになり、安定させる働きがあります。

本来は椿ではなく、サワフタギ(「沢蓋木」という名前は沢を塞ぐほど繁茂することに由来する。)という植物の灰を使っていました。今は環境の変化により全然見かけなくなってしまったそう。

そのため今後は成分が似ている椿の灰で代用するしかないのだそう。

今は去年寄付されたサワフタギの苗を校門横に移植して後世に伝えていこうと大切に育てています。

椿の灰を元にした60℃の媒染液に絞ったスカーフを沈めたところ
空気を抜くように揉みながら浸すように担当の高校生に教えてもらいました。

ほんのりあったかい。

10分後軽く絞って、染液に浸します。
染液は乾燥したムラサキの根をすり鉢で粉にしてアルコールで抽出した色素を使っています。


染液は沸騰させると色が汚くなるので50℃をキープするように温めて使います。

薬膳臭ッ?!アルコール使ってるせいか熱燗みたいな匂い。


最初はおもったより赤みが強い紫色でした。


20分ほど染液につけたら、絞って・・・
このムラサキの染料、灰汁が混じっちゃってるので再利用はできないと聞いて
高価なのに勿体無いの声があちこちから聞こえました。

私の中で貴重さが増したポイントでした。


媒染液に再び入れてモミモミ。
この工程を繰り返し、漬ける時間や回数が増えると色が濃くなるのだそうです。

お?!!ちょっと青っぽい紫になった!!!!


職人さんはこの工程をなんと120回(!!)繰り返すのだそう。


驚いたのも束の間!2回目の染料浸しをしている間に
2年生による紫根染クイズ大会が始まり・・・
参加者の間髪入れない回答にハニカミながら進行する姿は
まるで孫とおばあちゃんの会話を見ているようでほっこり。

楽しいクイズタイムであっという間に染色時間が過ぎました。

そしていよいよ、洗いの工程!
この工程でしっかり余分な染料を流せるかによって
仕上がりが全然変わってしまうのだとか。
緊張の一瞬です。

ドキドキしながら絞りを外していきます。

しっかりと絞ってあるのでなかなか外せないのが焦ったい。
ぶどうみたいね〜と談笑しながらながらたくさん絞ったビー玉などを外していきます。


広げると・・・

おおお!!思ったより濃く染まっている〜!!!

先生が奮発して染料を多めにしてくださったおかげで
2回染めでしたがしっかり染まりました〜

最後に参加者全員で記念撮影


参加者の声
思いも寄らない模様に染まりましたが、とっても楽しかったです。
紫根染は昔から知っていましたが、こんなに貴重で手のかかるものだと思わなかったのでいい経験になりました。(60代 女性)

今回が初めてではなかったのですが、思ったような作品に仕上がって大変満足しています。
また来年もぜひ参加したいです。(60代 女性)

学生の声
私たちが勉強している伝統技術や「ムラサキ」などの絶滅危惧種植物について地域の人にも知ってもらえてよかったです。(高校3年 女子)

後日先生から一言
天然の草木染めの取り扱いはぬるま湯で押し洗いしてください。汚れた場合は少量の中性洗剤で優しく手洗いしてください。洗った後はタオルドライ後、陰干しして、日光の当たらない所に保管してください。


初めての紫根染体験!

日々研究している現役高校生から教えてもらえる貴重な体験でした。

学生のうちから伝統に携わり、若い感覚ならではのひらめきで新商品も開発しているそうです!

今後も次世代へ受け継がれる授業を通して刻まれる青春の1ページ、大切にしてほしいですね。

以上、レポでした〜