犬と駆け抜ける「2023マッシャーズチャンピオンシップin岩手山」【レポ】

2023年1月28日、29 日に八幡平市松尾寄木の特設会場で開催された犬ぞりレース「2023マッシャーズチャンピオンシップin岩手山」のようすをご紹介します。

Musher(マッシャー)とは「犬ぞりを走らせる人」という意味🛷

2001年から開催されているドッグレースのイベントで、地元のほか北海道や関東地方からも参加者が集まる熱いイベントとして親しまれています🚩
今年は約100チーム、延べ270頭が参加し、300mから10kmのコースを参加者と犬が息を合わせて白銀の世界を駆け抜けました。

スタート直前、走りたくてウズウズしている姿からその興奮が伝わってきます。



静寂の中、そりが滑る音と懸命に走る犬たちの息遣いが響きます。


犬が本来もつ狩猟本能を刺激し、躍動感ある姿が見られる「ルアーレーシング」
「ルアーレーシング」とは、犬がルアー(疑似餌)を追いかけてタイムを競うレース。

青森県から参加したシベリアンハスキーの「れん君」と「てん君」。れん君(写真左)は【ルアーレーシング120m】に出場。

飼い主さんとお話ししていると、れん君がこちらに近寄ってきました!そーっと触れてみると驚くほどふわふわサラサラの毛並みだったので、日ごろのお手入れ方法を聞いてみると「月に1度ドッグサロンでシャンプーをしてもらいます。大型犬は1頭で5時間くらいかかるので2頭だと1日がかりになってしまうけど、皮膚病になると治療がすごく大変なのでいつもこの状態を保っています。」とのことでした。極寒の地でも耐えられるよう立派な被毛の手触りと温かい体温が伝わってきて感動的なひと時でした。

初めて見る犬ぞりから目が離せない我が家の犬。


犬の健康と移住

2022年6月に茨城県から八幡平市に移住した斎藤顕人さん宏恵さんご夫妻は12年前に犬ぞりを始め、5年前からこの大会に参加しているそうです。犬ぞりを始めたきっかけを伺うと「娘が犬を飼いたいと言いだして、飼うならハスキー犬かな、ハスキー犬なら犬ぞりかなと漠然と考えました。インターネットで調べると近くで犬ぞりをやっている人たちをすぐに見つけられたので、始めてみたら犬が1頭から2頭になり、今では6頭です。まさか自分がこんなことになるとは思ってなかったけどね。」と楽しそうに答えてくださいました。

大会に参加するために何度も八幡平市に足を運ぶなか、魅力的な環境や人との交流、そして何より犬の健康が移住の決め手になったようです。
「前は茨城県の工業地帯みたいなところで暮らしていました。大会で来るたびにいいところだなと思っていたし、犬の健康を考えたらやっぱりこっち(八幡平市)かなと思ったので市内で犬ぞりをやっている方や観光協会の方たちにいろいろお世話になりながら移住しました。」


今回のレースの感想を伺うと「ただただ楽しかった。当たり前に走っているように見えるけど、ちゃんと走ってくれるようにトレーニングをしたり、食事を考えたりしているので、しっかり走ってくれるのがすごくうれしい。」と目を細めて語り「先輩から″犬ぞりはかなりの中毒性がある″と聞きました。」と陽気な笑顔を見せました。

八幡平で犬と暮らす

八幡平市へ移住し、犬と過ごす日常のようすを楽しそうにお話してくださいました。
「今はほぼ毎日、田んぼのあぜ道を犬たちと走って満足して1日が終わります。移住するときにたまたま自宅の横に広いスペースがある物件を紹介してもらったので、そのスペースをドッグランにして好きなように走らせたり、冬になるとトレーニングと散歩と遊びが家の周りで全部できて、犬とのコミュニケーションも取れているという感じです。」と満足そうな表情を浮かべました。
「うちは家の中で6頭飼っていて、シベリアンハスキーなのにストーブの前で温まっていたり、外に出ると寒そうな表情や態度を見せたりするこの子たちが、こういうレースの時にはちゃんと走ってくれる。オンオフの切り替えが自然とできたりとか、さっきの″中毒性″じゃないけどやっぱり犬たちってすごいなぁと思いますね。」と犬ぞりを続けることの喜びと少し意外な日常のようすがうかがえました。

市内の写真家グループThe BLURRED PHOTO(ブラードフォト)」の皆さんもレースを楽しみながら腹ばいの姿勢で最高の瞬間を狙っていました📷

大会2日目は「ジャンボ焼き鳥」や「大判焼」などの販売がありました。

犬の個室が完備されたトラック🚚

表彰式の後はくじ引きとじゃんけん大会で景品をプレゼント✊

最後は岩手山をバックに記念撮影🗻


犬たちがじゃれあったり、くつろいだりとかわいらしい表情を見せつつ、レースが始まると広大な大地を想像以上のスピードで懸命に走る姿に胸が熱くなりました。その魅力に引き込まれ、犬とともに暮らすことに大きな喜びを感じたり、人生のターニングポイントのひとつになっていたり、犬と人間が歩んできた長い歴史を物語っているようでした。早くも来年の大会が楽しみです!
大会の動画はこちらから☟



大会主催者のFacebook